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賃金制度Q&A

退職金制度の目的とは?

Q: 企業によって退職金制度があったりなかったりしますが、そもそも退職金制度ってどういうものなのですか?
A: 労働基準法に退職金制度の導入義務について定められていません。つまり、退職金制度を設けるか設けないかは企業の自由なのです。では、なぜ設ける必要のない退職金制度を、企業はわざわざ設けるのでしょうか?

理由としては、やはり「優秀な人材の確保」が挙げられます。一般的に、退職金制度が無い企業と比べると、退職金制度のある企業の方へ人材は集まり易くなります。また、退職は「自己都合」と「会社都合」に大きく分けられ、通常、「自己都合」による退職の方が、退職金は低く抑えられていることが多いはずです。これは、優秀な人材の流出を防ぐためなのです。

しかし、企業にゆだねられていた退職金制度も、一度導入すると決まれば、労働基準法により就業規則にその内容について記載する義務が発生します。そして、労働者の労働条件(権利)となることにより、企業の一方的な退職金の減額改定はできなくなりますので、注意が必要です。

産前産後休暇中の従業員に対する賃金の支払い義務は?

Q: 産前産後で休暇中の従業員がいます。この期間について、従業員に賃金を支払う義務はあるのでしょうか?
A: 産前産後の休業期間の賃金について、労働基準法では何も定められていません。ですので、賃金を支払う義務はありません。また、その従業員が産前産後の期間中無給であったとしても、健康保険により、その期間について、1日につき、標準報酬日額の2/3に相当する金額が支給されます。

賃金支払い方法について認められる端数処理とは?

Q: 賃金の支払い方法について、一定の端数処理が認められていると聞きましたが、どのような処理になりますか?
A: まず、労働基準法により、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」(労基法24条1項)と定められており、原則、「全額」を支払わなければいけないことになっています。

しかし、労働時間や賃金額を計算する際に、端数が生じ、事務処理が煩雑化してしまう事が多々あります。そこで、一定の端数処理が認められることとなっています(昭63.3.14 基発150)。

その処理内容としましては、下図の通りです。

端数処理 対象 〜の端数が生じた場合 〜の端数を 認められる取扱い
(1) 1ヵ月間の残業代を算出する際の合計残業時間の端数処理について 残業代の対象となる 「時間外労働」+「休日労働」+「深夜業」の 合計時間1ヵ月 1時間未満 30分未満 切り捨てる
30分以上 1時間に切り上げる
(2) 1ヵ月間の残業代を算出する際の合計残業代の端数処理について 残業代の対象となる 「時間外労働」+「休日労働」+「深夜業」の 合計金1ヵ月 1円未満 50銭未満 切り捨てる
50銭以上 1円に切り上げる
(3) 1ヵ月間の賃金支払額の端数処理について 賃金支払1ヵ月 100円未満 50円未満 切り捨てる
50円以上 100円に切り上げる
1,000円未満 - 翌月の賃金支払日に繰り越す
(4) 1時間当たりの通常賃金額(残業代分)の端数処理について ・通常賃金1時間・残業1時間 1円未満 50銭未満 切り捨てる
50銭以上 1円に切り上げる

(1)〜(3)について、端数処理が認められるのは、月単位です。1日単位で端数処理することは、労働時間、賃金ともに認められません。

賃金規程で特に触れられていない課長や係長の「役付手当」は残業代の計算に入るのか?

Q: 課長や係長のような「役付手当」は、残業代の計算に含めていません。また、賃金規程でも特に触れていません。法的な問題はあるのでしょうか?
A: 法的に問題があります。実は、残業代の計算の基礎から除外できる手当・賃金が定められています。下図をご覧下さい。
【残業代の基礎となる賃金に含めなくて良い手当・賃金(労基法37条4項、労基則21条)】
除外できる手当・賃金 「除外」扱いの根拠
(1) 家族手当 労働とは直接関係ない個人的事情に基づいて支払われるため、計算の基礎に含めると、残業代に不均衡が生じてしまう。
(2) 通勤手当
(3) 別居手当
(4) 子女教育手当
(5) 住宅手当
(6) 臨時に支払われた賃金 計算が複雑になってしまう。
(7) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

(1)〜(7)について、名称にかかわらず実質によって取り扱われます。(昭22.9.13 発基17号)

この(1)〜(7)の手当・賃金には、「役付手当」は該当しません。ですので、原則、この「役付手当」は残業代の計算に含めなければなりません。

しかし、賃金規程等において、「その手当は、残業代の趣旨で支払っている」と明確にされていること、かつ、実際にその性質を有している手当であれば別です。賃金規程等により、明確に規定されていれば、残業代の計算に含める必要はありません。このケースでは、「役付手当」の趣旨を定め、賃金規程等にその内容をきちんと明示する必要があります。リスク回避の観点から、賃金体系そのものを見直した方が良いケースもあります。

成果賃金としての年俸制に残業代の支払いは必要か?

Q: 成果賃金として年俸制を導入しています。年俸制を導入すれば、残業代が不要になるのではないのですか?
A: 成果賃金としての年俸制であっても、残業代の支払いは必要です。具体的には、年俸を12ヶ月で除して月額賃金を算出し、これを1ヵ月の所定労働時間で除した金額を時間単価として計算します(残業代の計算の基礎から除外できる手当・賃金は、ここでも有効です)。

賞与については、

  1. 定期的に支給されているもの
  2. その支給額が確定しているもの

「1.〜2.の条件を満たすものは、名称のいかんにかかわらず、賞与とみなさない」(昭22.9.13 発基17)とされています。このため、一般的な賞与は、「2.支給額があらかじめ確定」されていないため、賞与とみなされ、「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」(労基則21条5号)に該当するため、残業代の計算の基礎から除外されています。

しかし、年俸制の賞与では、例えば、「年俸額を15等分し、15分の1を毎月の給与(×12)として、15分の1.5を夏・冬の各賞与として、それぞれ支給する」場合、支給時期、支給金額があらかじめ確定しているため、賞与とは呼べず、残業代の計算の基礎に含めるべきとされています(システムワークス事件 大阪地裁 平14.10.25判決 労判844号)。つまり、年俸制においては、基本的には、(名目としての)賞与を含めた総年俸額から算出される時間単価が、残業代の計算の基礎となってきます。

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